つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
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友達に貸してもらった本。高校時代の恩師葉山先生への想いをずっと抱えつづける、工藤泉という女の子の長い長い、片思い。片思い、って言ってもいいのかなあ?うーん、でもやっぱり、そうとしか言いようがない部分を感じるなあ。

薦めてくれた友達の言う通り、とても読み応えのある作品だったと思う。

面白かった!すっきり、というのではなく、寧ろかなり辛い気持ちになるところが多かったんだけど(読んでて後半何度も泣きそうになった)、それでも惹きこまれて読んでしまうタイプの本。たぶんこの本は、読む人によって反応する場所は違えど、ごく個人的な体験や思い出を呼んでしまうんじゃないかなあ。



恋愛小説、というものがだいたいあまり得意でない私でも、これは割とすっと入っていけた。たぶんそれは、私が恋愛小説において「苦手だな」と感じてしまう、ある種の「恋愛を楽しむ」余裕とか、相手の人間性を値踏みする(言い方は悪いけど)冷めた目線がないからなのだろう。転がり落ちていく自分を真っ直ぐに眺めながら、だけど少しもスピードをゆるめることの出来ない悲しさ。青い火を見ているみたい。落ち着いている印象を与えるのに、ほんとうは情熱的な赤色の火より、ずっと熱い。



抱えきれないほどの情熱なのに、あくまでもそれを表現する内面描写が理性的なのも、いいなあと思った理由。女の作家さん(だけじゃないけど)は、内面描写を結構感覚的に表現してるものが多い気がする。印象的な風景や、物をぽーんと置いて、その感覚を共有できる読者を選んでしまうというか。そういう作品、私はかなり好きだけど、この作品みたいに、そういうものに頼らないで、繊細な内面描写が出来るのって、実はすごいことなんじゃないかと思う。



ここからは、ごく個人的なこと。この小説の中心は葉山先生と泉で、ほんとうに胸がつまるようなやりとりがたくさんあるのだけど、私が一番辛くなるのは、二人の場面ではなかった。泉が付き合うことにした小野君の台詞とか、後輩柚子ちゃんの「手紙」のあたりが、一番胸をえぐられるようだった。とても苦い記憶とか、ずっとずっと解決できていない嫌悪感みたいなものがあまりにも生々しく甦ってきて、これを読んでいた喫茶店で、目が潤んできてちょっと困った(笑)なんかこう、瞬間的に頭に血が上ったのね。



小野君の心の痛み、分からないわけじゃない。だけど読んでいる間、私はこの人がとても憎かった。この人のしたこと、というか、こういうことする全ての人が許せない、と思った(この人の支配的な言動も、ちょっと引っかかる)。泉の心ががさがさ乾いていく過程に、無意識のうちに入り込み過ぎてしまった。泉は小野君のこと、憎まなかったけど。私は泉の、こういう根本にある聡明さ(?)がとてもいいと思う。感覚的な好き嫌いの部分で相手を切ってしまわないところ。ああ、この人はこういう人なんだなあ、と、すうっと受け入れていけるところ。作者もそういう人なのだろうか。だからこそ、こんなにそれぞれ魅力的な人物が描けるのかしら。なんかね、個々の人物の内面が、嫌味なく、クリアに描かれてるなあという気がします。



読み終わった瞬間、はーっと溜息をついて、しばらく天井を眺めた。

なんだかそうしないと、自分の周りにまだ、雨が降り注いでいるようだったから。



痛みと引き換えに戻ってもいい過去なら、欲しかったな。そんなふうに人を好きになること、いつかは出来るのだろうか?と思うと、かすかに淋しくもあるね。



・・・また、この人のは、読むだろうな。いい本を貸してくれて、ありがとう。


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