つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
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久しぶりに、大好きなファージョン作品集を読み直しました。今回読んだのは、「リンゴ畑のマーティン・ピピン」と、「ヒナギク野のマーティン・ピピン」(いずれもファージョン作品集から。石井桃子訳・岩波書店)。ファージョン作品集は全巻揃えているのだけど、この2冊だけは、大人になってから自分で買った。どちらもかなり分厚いです。今日はひとまず、リンゴ畑の物語のみ、ご紹介。



「リンゴ畑のマーティン・ピピン」は、旅の詩人、マーティン・ピピンが男嫌いの娘たちに聞かせる六つの恋の物語を中心とするお話。短編集のような形をとりつつ、間ではマーティンと六人の乙女たち、そしてもう一人、父親に恋人と会うことを禁じられた娘、ジリアンの物語も絡んでくるのです。

この六人の娘たちのキャラクターがまた面白い。素直で賢い子、とてつもなく頑固な子、笑い上戸な子、泣き虫な子・・・と、それぞれの性格の違いがマーティンとのやりとりによって浮かび上がってくる。私は、一番年下で友好的な「ジョーン」がお気に入りでした。どの子もちょっとしたことでボーイフレンドと喧嘩しちゃってるんだけど、その理由が(そして、それに答えるマーティンの台詞が)結構核心を突いてきます。この辺は、大人になって読むとまた面白いと思う(そもそもこの作品に限っては、もとは子供向けに書かれた物ではないらしい。後に児童文学として受け入れられたことに、ファージョン自身もびっくりしたのだそうです。訳者あとがきより。)



若葉おとめたちを一人ずつブランコに乗せて聞かせる六つのお話&ラストも素敵。恋愛物はそう好きじゃないのだけど、これは別。私は「夢の水車場」と「誇り高きロザリンドと雄ジカ王」が特にお気に入りです。

「夢の水車場」。若い頃一度会っただけの男性の夢をずっと見続けて年老いていく女の子。夢の中で、彼女は彼と愛し合い、ともに苦難を乗り越えていく。彼女の夢をひきながら回りつづける臼。外見的には年老いながら、彼女の瞳だけはいつまでも若若しく、年若きものたちは、彼女の持つ何かに引き寄せられる。彼女の夢は、ただのオールドミスの淋しい夢にすぎないのだろうか・・・?

ラストは内緒。でも、とても素敵な終わり方だと個人的には思う(現実的な人にとっては、甘過ぎて許せないかもしれないけど。どっちかというと、ロマンチストな人向きかもね)。身につまされる台詞もあるけど、最後で救われます。



「誇り高きロザリンドと雄ジカ王」は、緊張感のある格調高い恋物語(だと思う)。王家の末裔だが、今は落ちぶれて乞食同然となっている(しかし決して誇りを失わず、人に哀れみを乞わないために、かえって憎まれ、さげすまれる)ロザリンドと、無口な鍛冶屋の物語。創作物語というより、何代にもわたって伝えられてきた伝説物語のよう(石井桃子さんの訳がいいというのもあるんだろうな)。



ロザリンドは、ギリシャ神話に出てくるアルテミスみたいなイメージの女性。牡鹿を従え、常に凛としているの。ちょっと男装の麗人のような感じでもある。誇りを守ろうとするあまりとんでもない行動に出たり、少女のような優しさや脆さをあわせもってもいるところも、ポイント(?)。そして「雄ジカ王」はさらにかっこいい!相手を屈服させるのではなく、むしろ誇りと気高さを求める点に、王としての威厳を感じます。うーんしかし、共に並び立つことができる関係の恋愛って、世の中にどれくらい存在するのだろう?なんて、ちょっと遠い目で考えてしまう(笑)。



他の作品も一作ごとに紹介したいけど、一日かかってしまいそうなので、ここらでがまん。それにしても語り手マーティンの魅力的なこと!この人は、自由なツバメのイメージだな。彼が歌う歌のように軽やかに、真実をつき抜けて飛んでいく。



次は、続編「ヒナギク野のマーティン・ピピン」のことを書くつもりです。
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