つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
カテゴリ、ミステリーに入れるべきか、児童文学に入れるべきか迷いましたが、とりあえずこっち。(後半にミステリー論が収録されていたので。)



結構江戸川乱歩好きな私ですが、実は少年探偵シリーズは一冊も読んだことがなかったのです。小林少年が出てくる事は何故か知ってたけど(少年という言葉に弱いから。笑)。小学校のとき、ポプラ社から出てたシリーズが図書室にありましたが、熱心に読んでた友達を横目に、当時の私は絵本ばかり読んでおりました。そして今頃になって、ルパンや少年探偵団が読みたくなってきたのであります。なぜかしらー。



それはともかく。光文社から江戸川乱歩全集が、文庫体裁で出てるなんて初めて知りました。欲しいなあ・・・でも、装丁は春陽文庫の方が好きだなー。あっちのほうが、薄気味悪くて内容に合ってるような気がする。こちらの全集も、どことなく不気味な絵ではあるんだけど、ちょっとあっさりしてるかな。

収録されているのは、「おれは二十面相だ!」「怪人と少年探偵」「妖星人R」「超人ニコラ」(以上が、少年もの)「探偵小説の「謎」」の五編。それに、丁寧な注釈がついてました。解説に花村萬月。



面白かったです。さすがに大人向けの作品の中にあるよなエログロ要素は薄められていたけれど(怪人二十面相って、世紀の大悪党だけど、血を見るのがキライで人殺しはしないんだってー。ちょっとびっくり)、子供たちと怪人、そして探偵明智先生の奇想天外な活躍に心躍らせて読みました。心の中はもう、昭和初期の少年雑誌のようなレトロな少年たちが飛びまわってます。これ、紙芝居とかでやったら楽しそう。

「そんな馬鹿な!」っていう筋書きと、「あ、ここはこうなるんだな」っていう「お約束」が味なのです。「どうして明智先生も二十面相も、毎回同じ手にひっかかるのさ!」とか、「そんな変装で、どうして全世界がだまされるのさ!」とか「ラストの『明智先生バンザーイ!小林団長バンザーイ!』ってのは何なんだ!」なんて言うのは野暮です。それもまた、面白さなの!非現実の世界に遊べない人なんてキライだよー(笑)。



それにしても、小林少年ってば素敵です。賢くて勇敢で、他の少年たちの尊敬を集めてる上に美人なのね。女の子に化けるとみんなわからないって書いてあったから、きっと相当美少年なのでしょう・・・。こういう、そこはかとない耽美な部分も好き(笑)。あ、少年探偵団の他のメンバーにも面白い子がいるんだね。歳より随分体の小さいポケット小僧君とか、拳法の達人の井上君とか。うー、シリーズ読破したくなるじゃないか。ラジオ放送されてたこともあるんだ、聴きたかったなー(生まれてません)。



一番面白かったのは「妖星人R」だなー。カニ星人がいっぱい出てくるのです。例によって怪人が化けてるんだけど。どう考えても、特撮に出てくる妖怪の姿だよなあ、カニ星人。オチがとっても強引なのもまた、いいです。眼力勝負なんて!

整形手術による人間入れ替えを使った「超人ニコラ」もいい。小林少年大活躍です。

明智小五郎と、怪人二十面相は、よく似た双子のようだ。もしかして一人二役なんじゃ?なんて思ってしまうほど。そしてちょっと、トムとジェリーのおっかけっこを思い出す。だって、どう考えても楽しんでるんだもの、対決のときを。



探偵小説の「謎」のほうは・・・うん、たぶん推理好きな人には興味深いんじゃないかしら。トリックよりは演出の派手さでミステリを楽しむ私は、へーこんな殺し方を考えたんだ、ふむふむ、というくらいの興味で読みました(一気に気の無い感想でごめんなさい・・・)。


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またちょっと更新が開いてしまいました。今日は2冊、書くつもり。

まずは一冊目。久々の、漫画紹介です。



「チーズスイートホーム」。散歩中にぼんやりしてて、うっかり親猫とはぐれたちいさな子猫。おうちにかえりたいけど、怖い犬や車に怯えてすっかり迷子になってしまいます。しょんぼりぐったりしてるところにあらわれたのが、ちいさな男の子「ヨーヘイ」とお母さん。子猫の新しい暮らしが始まる・・・・。



や、かわいいんだーこれ。表紙が、迷子になってしょぼん・・・とした子猫チー(←この名前に落ち着いた経緯が、また笑える)の絵なんだけど、大きな目がとろん、となって、涙がちょっぴり出てる顔にノックアウト。帯の「この子猫、拾ってください」の文字を見るまでもなく、拾って連れて(※もちろん買って)帰っちゃいました。開けてびっくり、中がフルカラーだ、これ。道理でちょっと、高い・・・(汗)。

読後感も良いなあ、ほのぼのした気持ちになれる。最初は、絵の可愛さだけに惹かれたんだけど、ほんとうにきゅーんとなる原因は、絵柄というよりはチーの素朴な感情の表現にあるのかも。ネコの気持ち、というよりは、小さな子供とか、ふとしたときに大人でも感じるような、シンプルな安心感とか心細さを描いてるんだと思う、この漫画。

すっかり家猫になったチーが、外に遊びに行ってふと夕方一人ぼっちになっちゃったときの「みんなおうちかえった チーは?」と呟くときの顔や、家族が迎えに来たときの涙でぼろぼろの顔、おるすばんの時の不安な表情を見ると、ちょっとほろりとしてしまう。人間の感傷を猫に押しつけた、って見方もあるだろうけど、あんまりそんな意地悪な気持ちにはならないなあ。





そうそう、チー君(あ、女の子だっけ)も可愛いんだけど、一番のお気に入りはこの家のお父さん。ほんとは猫を飼っちゃいけないアパートだから、最初は「貰い手を探さなきゃね」なんて言ってたのに、一番情がうつってチーに甘いのがこの人なのです。嬉しげに猫のおもちゃを買ってきたり(でも、そんなに遊んでもらえなかった・笑)、チーに嫌われてがっくり落ち込んだり(寝てるときしか触らせてもらえないから・・・ってこっそりチーをなでてる寂しげなお父さん、ちょっとかわいい)、お気に入りのジーンズをぼろぼろにされても怒れなかったり、なんだかものすごくいい人なのです・・・!お母さんも、ヨーヘイ君(チーのよきお兄さん!)もおっとりしてるんだけどね。いいなあ、この家族。いい家に拾われたね、ばれたらマンション追い出されちゃうけど・・・!読んでると自然に顔が緩む。



あんまり動物が主役の漫画には興味がなかったんだけど、こういうのもいいもんだなあ。続きを買おう。へへ。


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うわ・・・せっかく書いた感想、うっかり全滅させてしまいました。がっくり・・・。

とても好みのエッセイだったんだけど、ただなんとなく好きな雰囲気、っていうのがこの本に対する感想だったから、それを言葉にするのに苦労したのです(無理やり言葉にしても、もとの感想とは何となくずれてきちゃうんだけどね)。それなのにそれなのに、あとちょっと、っていうところでバックスペースキーの押しすぎで前のページに戻っちゃって、データ消失。もう一回欠く気力ない・・・で、でもせっかくだから、短縮して書いてみよう。



一言で言うと、筆者が、日々の記録を淡々と綴ってる、限りなく日記に近いエッセイ。金平糖(←好物)食べてるみたいな、柔らかい幸せな気持ちになります。



筆者がハーモニカを吹く横で、奥さんが童謡を歌うのが日々の日課なんだって。この奥さんはピアノが好きで、よく練習してる様子が出てくるんだけど、あ、今日は難しい部分をすらすらひいたな、よかった、って二人で喜んでる場面なんかを読むと、ちょっと羨ましさに泣きそうになっちゃう。もーなんなのさ、この夫婦・・・(><)生活で削れた部分、くたびれた部分というのが全然感じられない。こんな夫婦もいるのかなあ。エッセイというより童話じゃないか!

この二つの場面(ハーモニカの場面は特に頻繁に出てくる)を読むと、いつも頭の中に絵が浮かぶのです、絵本のようなタッチのものが。夜空の下でハーモニカを吹くおじいさんと、横で歌うおばあさん。大きな月がぽっかり出てて、足元の池の中にも月があって。でも、池の中の二人は、小さな女の子と男の子なんだ・・・。



ときどき遊びに来る子供たちの家族、彼らがよこすお手紙、庭の花、遊びに来る鳥たち、ご近所さん、どれをとっても、どこか絵の中の物語のよう。その印象は、一つ一つのエピソードそのものの素敵さだけじゃなくて、それを綴る言葉の平明さとか柔らかさによっても強められているみたい。帯にもある通り、実にたくさんの「うれしい」「おいしい」「ありがとう」「よかった」がちりばめられてて、はじめはちょっと「あまりにも理想化されてるよなあ」と思ってたこちらの額の皺も、緩んでしまいました。



ここの人たちの生活や言動を読んでいると、一見まったく生活臭とか、家族の摩擦や葛藤なんか経験したことがないように思えて(だって、ほんっとに誉めたり喜んだりしか、しないのよ!)、正直気楽でいいなあ・・・という気がした時もある。けど、最後まで読むと、そういうのじゃないんだな、というのがなんとなくわかってきた。どこがどうとはうまく言えないんだけど、ここに描かれてる生活は、色んなことがあって、痛んだり汚れたりした布を、何度も丁寧に丁寧に洗った上に敷かれたものなのかなのかもしれない。ふとした拍子に、書かれなかった背後の時間を感じることがある。

うーん、ちょっとうまく伝えられないんだけど。



同じように、言葉というものについてもちょっと考えさせられる。うれしい、よかった、おいしい、というフレーズ、無雑作に出されているようで、実際はここに描かれた生活のように、丁寧に丁寧に置かれてるんだなあ。陳腐と洗練の微妙なバランス。

過剰とも思えるほど絢爛豪華な文章に惹かれることの多い私だけど、削ぎ落とし、厳選された言葉の力も、意識したほうがいいのかもしれない。





・・・あーあー、なんかごちゃごちゃ書いちゃったけど、ほんとはね、やっぱり、「雰囲気が素敵!こういう夫婦、いいなあ!子供たちのお手紙もあったかいねえ!うー、こんなふうに生活したいよう!」っていうのが、一番正直な感想なんだよ。
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お盆休み中に読んだ本を、ぼちぼち追加していきます。まずは一冊目。



オトナ語。それは、主に会社で飛交う、冷静に考えると(というか、考えてはいけない)なんなんだそれは!という言いまわしの数々。へりくだりにへりくだりをかさね、脱力をさそう超謙譲表現や、略しすぎてもはや想像すらできない意味の略語、それって日本語でフツーに言ったほうが早いって絶対!という動詞表現の数々に、思わず吹き出したり困惑したり。日本語が乱れてるのは、何も若者だけではないのですよ。



言葉そのものが笑いを誘うんだけど(でも、きっと私も使ってしまうんだろうな・・・そのうちに)、それをさらに爆笑へといざなうのが解説文。テンポ良く、どこかすっとぼけたこの解説文は、糸井さんの書いたものなのかなあ?ところどころに出てくる、猫なのか鬼なのかよくわかんないキャラクターのイラストが、とても可愛い。実は、このイラストに惹かれて買ったのです(描いてるのは森川幸人さん、という人らしい。)・・・(^^;)

とどめは、オトナ語を使ったシチュエーション文。男女の仲を会社の契約っぽく表現したり、文学や漫画、アニメの有名フレーズをオトナ語に直したり(個人的に、妖怪人間ベムのオトナ語が一番ツボだった・・・)。本の最後には、オトナ語センター試験、なんてものもあります。やってみたけど、なかなか全問正解しないものだなー。



最後にいくつか印象に残ったオトナ語を列挙しておこうかな。「おんぶにだっこに肩車」、「中国語の勉強」(←麻雀のことなのね・・・)「スキーム」(知らないこんなの!)「ベルサッサ」(終業時間になると即座に帰る事・・・か)「PCB」「FLI」(これ、意味わかる?レモンの防カビ剤とか、特殊秘密組織かと思ったよ)。やー、勉強になったよ。その一方で、結構普通に使う「某」「さくっと」「死んでる」「いっぱいいっぱい」なんかもオトナ語になるんだ・・・とちょっとびっくり。そうかー、知らない間に私もオトナの階段を昇っていたのね。





ほぼ日刊イトイ新聞編の本にはもう一冊「言いまつがい」というのもあるみたい。予想外に面白かったから、近日中に買う予定。あと一冊で、yonda?君の時計集められるしね(笑)。
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久々の、ミステリです。



東京にある超高層マンションで、四人の男女が惨殺された。事件直後は、被害者はこの家の持ち主一家であると思われていたが、調べが進むうち、殺されたのは全く別の家族であったことが判明。しかし後に、「家族」と思われていた被害者たちが、実は全くの他人同士であったことが明らかになる。



殺されたのは誰で、殺したのは誰なのか。そして動機は?事件に何らかの形で関わった人たちの膨大な証言をもとに、事件の背景を探っていく・・・という形で書かれた物語。



面白かったです~!結構分厚い本なんだけど、一日で一気に読み上げた。それくらい、ぐいぐいと引き込まれるんだ。

偽の家族の殺人事件を軸に、さまざまな要素がちりばめられていて、飽きさせないのです。家族、というもののもつ危うさや心のすれ違い(と、いってしまうと陳腐なんだけど・・・)を、すごく説得力のある形で描いているなあ、と思った。単純に憎いとか愛しいとかそういう言葉でくくれない、何か。娘、息子、嫁、姑、義妹、弟、父。それぞれの眼からみる家族像や、家族の構成員に対する気持ち(や分析)はみんな違っているのだけど、たぶん、どれも正しいのだろうな。

事件にかなり深い関わりを持っていた家族の一人の少年が、殺人犯について漏らす感想が印象的。僕も、ああなるかもしれない、という台詞。「面倒くさい家族」から逃れて他の人と家族になっちゃえば良い、と思ったけど、その擬似家族も面倒になったら、消しちゃえ、と思うことがあるかもしれない・・・というようなことを言うんだけど、これが心の深いところにぐっさりきた。

家族って、めんどくさい。煩わしい。自分の生活の邪魔をする・・・けど、それだけでもないんだよなあ。諍いや衝突があったとき、それを切りぬけられるか否かは、めんどくさい、を上回る何かが、あるかどうか。殺人犯になってしまった男には、それがなかった。ここに出てくる他の家族(彼らもまた、内側からの軋みを抱えていたのだけど)と大きく違うのは、そこだったのかもしれない。

壊れない繋がりを作り、それを維持するのは、そんなに簡単なことではないのだろうな・・・。うーん。



結構重たいテーマを幾つも抱えているけれど、謎解きの面白さや一抹の救い(例えば殺されてしまった男性の奥さんの、夫と姑に対する深い理解など)に助けられて、読後感は悪く無かったです。

宮部みゆきのミステリ、また他のも読んでみようかなー。「普通の人」の持つ感覚や心情が、丁寧に書かれてるところが好き・・・。(エキセントリックな探偵ばかり出てくるものも、それはそれで楽しいけれど)




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図書館で借りた本。ここでも何冊か書いてる「日本の名随筆」シリーズのひとつです。今回のはその名も「恋文」。恋文、といっても異性に愛を打ち明けるものだけじゃなくて、同性に対する憧れや、友達の才能を賞賛する言葉を綴ったファンレターみたいなのも収録されています。



このシリーズにしては、好きだと思う随筆が少なかった。ラブレターというものは、結構批評的精神の的になりやすいのかもしれない・・・っていうのが感想。そのときは感傷たっぷりに、陶酔して書いていた恋文が、後にはただただ恥ずかしいものになってしまったときの苦味。他人のラブレターの中に見る虚飾や自己愛のにおい。甘酸っぱい恋物語(笑)を期待して読むと、ちょっと物足らないかもしれません。も・・・もうちょっとほのぼのしたものを想像してたんだけどなあ。



あ、でも、そういうシニカルな随筆の中にも魅力はちゃんとあるのですけどね。面白いのが、何人もの人が「手紙から醸し出される雰囲気と、実際の人間とのギャップ」が大きいと、そういう恋はうまく行かないよ、と書いていたこと。ラブレターに限らず、外に向けて、文字で自分を表現するときの本質を言い得ているなあ、と思った。とは言え、ありのままの裸の自分をさらけだせばいい、ということでもないのですね。多少のお洒落は必要なんだけど、自分に似合う形でのお洒落をしなきゃいけない、ってことなのかしら。自分と言うものを理解していないと、自己陶酔の罠に嵌って、後に破り捨てたくなっちゃうような文章を綴ってしまいかねないわけか・・・。わー、身に覚えがあるようなないような・・・(ラブレターは書いたことないですけどね。)いたた。



さて、そんな中で印象に残ったのは以下の作品。ほのかに物悲しさとエロスが漂う、宇野信夫の「はつ恋」(これは、手紙じゃない場面が印象的だったの)。江戸川乱歩の少年時代、年上の少女にちょっとした憧れをいだいていた時の思い出「恋と神様」。裸足で逃げ出したくなってしまうくらい、恥ずかしい恋の言葉が紹介された、池内紀の「恋文作者フィシェ兄弟 ねんねのおめめにあついキス」(だいたいサブタイトルからしてすごいもんね、これ)。向田邦子のお父さんって、ただの癇癪持ちじゃなかったのね・・・という「無口な手紙」(じーん・・・)と、十七歳の初恋の思い出をユーモラスに綴った、東海林さだおの「初恋物語」(抄)。



中でも一番をつけるなら「初恋物語」だなあ。こういうのがもっと、読みたかったんだ!主人公のショージ君のうろたえぶりといい(ラブレター書こうにも手紙の文面が全然思い浮かばなくて、「前略」と書くのでさえすごい時間かけちゃったりするのです)、何故か本人よりも盛り上がって励ます友達(ショージ君に代わって、頼まれもしないのに彼女の家に偵察に行っちゃうんだ)といい、憧れの対象の女の子の恥ずかしそうな様子と言い、いやんもう青春だなあ!という感じなのです。情けないんだけどいとおしい。笑っちゃうんだけど、笑ったときに出た涙がちょっとだけ、本気の涙になってしまう切なさもはらんでて、ほんとにいい随筆なのです。抄録みたいだから、本編をちゃんと読んでみたいなあ。



このシリーズ、まだまだ気になるテーマがいっぱい。「散歩」「毒薬」とかね。
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わ、ドリコムさんスキン増えてる!可愛いのがいっぱい増えて目移りしちゃうけど、暫くはこれで。



さて、鴨居羊子コレクション。この方の本を読むのは初めてです。図書館に置いてあった全三冊の作品集の装丁があんまり素敵だったので、何となく手に取ってみたの。

カバーについてる略歴を見ると、ふむふむ、新聞記者のち下着デザイナーになった方なのね。画家としての顔も持ち、エッセイにも才能を発揮・・・かあ。う、羨ましいー。

本の最初には、犬や猫のユニークな絵が掲載されています。空気が好きだなあ、色んなものをはらんだ絵。



この2巻(いきなり二巻を手に取る変則っぷり・・・)は、タイトルからもわかるとおり、街ののら犬、のら猫との交流を軸にしたエッセイ集です。後半には、自分が飼った(というか、一緒に暮らした)動物達への想いを綴ったエッセイも収録。可愛らしいのに、下のほうにはずーっと、寂しい気持ちや喪失感が流れてる。何度も鼻の奥をつうんとさせながら読んだ。失われてしまうものを遠くから見守る気持ち。どんなに愛していても、見送る側になってしまう悲しみは、何となく理解できる。動物好きの人なら尚更だと思う。



筆者は、基本的に人間があんまり好きじゃなくて、どちらかといえば犬や猫を眷属として生きてる女の人。それも、飼いならされ、文明の匂い(人間臭)のする純潔種たちではなく、もっとたくましく、自然の匂いのする、同時に、「捨てられた」もの、「置いていかれる」ものの悲しみ、はかなさ、そして諦めも感じさせる雑種達に愛情を傾けるのです。



動物達も、彼女に同じものを感じ取るのでしょうか。私こんなの一度も見たことないや、という親しさで近づき、感情豊かな姿を見せてくれる。にやりと笑う犬、必死で泣きじゃくる(鳴く、ではない)猫・・・始めは人間に使うような形容に戸惑ったのだけど、次第にこちらまで鴨居さんの視線に同化して、目の前にはほんとうに動物がいて、ひそやかにお喋りをしてくれてるような錯覚を起こしてしまう。犬捕りに殺されてしまうボケ、けなげな子犬三太、捨て猫だった次郎吉と三吉、猫が大好きな犬鼻吉・・・どの子のエピソードもいとおしい。だからこそ、その中の何匹かとの突然の別れはほんとうに辛い。





ここに書いてあった動物との友達になる方法、試してみたいなあ。駄目かなあ、私は芯から動物好きってタイプじゃないから。もっと、風景のように動物を見てる気がするもの。

でも、鴨居さんの「ケモノ渇望症」がうつってる今なら、近所の野良とも仲良くなれる気がする・・・。



とっても「当たり」のエッセイでした。他の二冊も近々読んでみよう。動物のエピソードだけじゃなく、美しいものがなきゃ生きていけない、っていう精神とか、箱に入りきらない自分を持て余す不器用さとか、端々に見える御本人のキャラクターにもとても惹きつけられました。こんな人がいたんだ・・・。


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