つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
1966年に出版された、フォア・レディース・シリーズの復刻版で、三冊セットのうちの一つ。残りの二冊もそのうち。紙や活字も当時のままなのかなー、古めかしくて、それがまた良い感じ。祖母か母の本棚から拝借してきたような錯覚に陥れます。



宇野亜喜良のめくるめくイラストに、まずうっとりしてしまった。色んなイメージが絡み合って、見ているうちにだんだん頭がぼーっとしてくる。メランコリックな表情の女の子たちが、この本にぴったり。

で、肝心の内容。前半は詩群。「船の中で書いた物語」「ぼくの人生処方詩集」「詩物語・トランプ幻想」と続く。「船の中~」収録の詩は、こないだ読んだ文庫で大半お目にかかっているんだけど、やっぱり好きだなあ、この人の海への憧れと屈託。後半のエッセイにも、海のことを書いたものがあって、併せて読むとなおさらふーむ・・・と思う。



「トランプ幻想」を読む間だけは、私は23歳の平凡な女の子であることをやめて、もっと小さな、細い少女に変身したつもりになることにした。赤いリボンの、和製アリスに。

「みずえ」って女の子がジョーカーに恋されたり、クイーンにだまされたりと、トランプの世界を旅するシリーズなのです。ロマンチックなのに、どこかシニカル。絶対ジョーカーなんだわ、寺山修司は。

この詩群の最後には、「トランプことば」のリストがついている(遊び方も)。今の気分は、スペードの7だな~、ふふふ。



後半はエッセイとも短編ともつかぬ文章群や、詩が断片的に収められている。「樅の木」が好きだなー。わあ、ペイネの絵みたいだなー、なんてうっとりしていたら、最後で肩透かしをくらいます。

「センチメンタル・ジャニー」の苦味も好き。この人は、感傷的なものに惹かれつつ、一方でそういう自分をクールに眺めたり、戒めたりしているのだろうか。どうなんだろ。なんていうか、クールさもセンチメンタルさも、ほんとなんだけど、どこかでそれぞれ「装ってる」感がある(好きなんだよ、そういうところが)。

柔らかい心がふたつにわかれて、一つはとどまって、一つはどんどん年老いていく、という感じ。「夏は、終わったのではなくて死んでしまったのではないだろうか?」という言葉が、ぐさり。
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十八、十九、二十・・・二十二、二十三。最初に読んだときからもう五年。その間に、登場人物のほとんどの年齢を追い越してしまったのだなあ。



大学生ワタナベ、十七歳で自殺した親友キズキ。キズキの恋人、直子に、大学で知り合った女の子、緑。生と死とのベクトルが始まるところで、なすすべもなく(と本人は思っている)日々を送るワタナベ君。十八の時には、ただただ死のイメージ、ぬかるみのイメージにばかりひきつけられていたらしい。今回読んでみて、「こんな話だったっけ?」と思うこと、しばしば。人が自殺するところしか、記憶してなかったんだ、私・・・。

今なら、「二十歳をすぎちゃったんだ、生きていくツケを払わなきゃならないんだ」という言葉も、センチメンタリズムとしてだけじゃなく、実感できる・・・かもしれない。前よりは。



まとまった感想なり、テーマやストーリーなりを説明するのが難しいのだけど、上下巻と通してずーっと頭の中にあったのは、無数の色のついたリボンや糸。生と死、だけじゃなくて、生活や葛藤や、安らぎや悲しみや、それどころか、春樹さん特有の、心にひっかかってくる数々の風景(の中にある、何か)なんかが、それぞれ違う糸でどんどん絡んできて、ぶっとい綱になっていくんだ。

それとは別に、色んな時間や場所に、それぞれの人物(生きてる人は勿論だけど、この場合は死者も)が糸で括られて立っていて、それがお互いに思わぬ引っ張り合いをしてるような印象も受けた。遠い遠い過去から、ふっと心がひっぱられたり、その瞬間に、他の誰かの心についてる糸を思いっきり、引いてしまったり。

日常を生きていて、「あ、今なにか思い出した」っていうときは、誰かが糸を引っ張って呼んでいるのかも知れないなー、なんて思わされてしまう、不思議なリアリティがあった。





それにしても!ここに出てくる手紙は、みなそれぞれに魅力的。かつては直子の手紙が好きだったんだけど、それよりも今は、ワタナベくんの手紙に心臓をつかまれる。淡々としててひそやかで、でも美しいものに溢れた手紙。丁寧に丁寧に風景を包んで封をしてるような手紙。

こんな手紙貰ったら、直子やレイコさんじゃなくても嬉しくなってしまうよなあ。

あ、緑が怒って書いた手紙も好き。かわいらしいのよね、あの子は。





色々思い出すこともあって、読むのに二週間近くかかったけど、やっぱり村上春樹は好きだ。これからぼちぼち読みなおして、誰のでもない、自分の感想に塗り替えていこう。もうそれが出来る頃だ。
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勇敢で賢い九歳の少年、エルマー・エレベーター君と、エルマー少年に助けられたりゅうのこどもの冒険、第二弾。(第一弾だと思って買ってきちゃったんだけど。)



無事りゅうをたすけおわって、「さあ、帰ろう!」というのがこの話の始まり。りゅうの背中に乗って家を目指すんだけど、急な嵐に見舞われて海に墜落!二人は見知らぬ無人島に漂着してしまいます。そこで出会ったのは、エルマーが飼っていたカナリア。ここは、カナリアの国だったのです。カナリアの王様が「しりたがり」の病にかかってると聞いたエルマーは、王様に謁見して、力を貸すことに・・・。



海の水で体が冷えたらうごけなくなる竜の子供がなんともかわいらしい。「ぼくって、ちっともりゅうらしくないねえ」とべそをかく場面にきゅーん。

対するエルマー君は、九歳とは思えない落ち着き振りで、すっかりりゅうのお兄さんのようだ。初めて読んだとき(今から十数年前だ)、わー、小学生のお兄ちゃんって、こんなに頼もしいんだなあ、こんなお兄さんほしいなあ、と思ったものです。判断力といい、勇気といい、礼儀正しさといい、今読んでも「かっこいいな~」・・・と、思う。



この本も、食べ物が魅力的。話の筋はあんまり覚えてなくても、棒付キャンディー、リュックいっぱいのみかん(りゅうはみかんの皮がお気に入りで、二人で実と皮を分け合って食べる)が美味しそうだったことはしっかり記憶に残ってるんだ。(子供が注目する食べ物っていうのをよくわかってるなー、と思う。)りゅうの大好物、スカンクキャベツやダチョウシダも、「どんな味なんだろ!?どんな形なんだろ?」と色々想像を膨らませてしまいます。





ストーリーの終わりは、エルマーが無事に家に帰ってくる場面。でも、これにはまだ続きのお話が。自由になったりゅうの子供にはまだトラブルが・・・!エルマー君の冒険は、「エルマーと16ぴきのりゅう」に続くのです。

はやく続き、読みたいな。その前に一作目、「エルマーのぼうけん」を買わなくちゃ!三つ編みをするライオンの絵が、もう一度見たいのよ。
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