つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
昨日のレオ=レオニの絵本を読んでから、絵本熱が復活。というわけでしばらく、絵本とか児童文学率が高くなるかもしれません。



昨夜から今朝にかけて、手のひらサイズの絵本ばかり読んでいたので、まとめて感想。

まず、「ピクシー絵本」第一集・二集(ふくいのぶこ訳・フェリシモ出版。)デンマークの絵本なのですね。



これ、私が幼稚園入る前くらいに買ってもらったものの再版と思われます。当時のは知り合いのお子さんに貰われていってしまって(知らないうちに本棚から消えてて、何ともショックだった。)、今手元にあるのは、某遊べる本屋さんで買ったものです。ヴィレッジ、良い仕事!

ほんとに大好きなシリーズだったのです!小学校高学年くらいに入っても、まだ時々ひっぱり出して眺めてたもの~。子供の手にちょうどいい大きさで、一つの箱に六つの絵本が入っています。

どれも大好きだったんだけど、なかでもお気に入りのが数冊あって、それを読んでるときはもう、完全に頭が子供でした。気がつけば椅子の上で体操座りして小さくなってるの!(笑)

ぬいぐるみみたいな象さんが、一枚一枚服を着ていくっていうだけのシンプルなお話「ぞうのペーター」、もしもはなもようの傘を貰ったら、私こう使うわ!って女の子が空想するお話「はなもようのかさ」(傘をひっくり返して船にするの)。ぼくはもう三才だから、何でも出来るよ!っていう、「セーアンはなんでもできる」(でも最後に、夜のお話はまだできないから、やっぱりお母さんがいるのが好き!っていうのが何ともほほえましい。この子が最初のページで巻尺を持って立っているシーンが何故か好きで、何度も真似しました。)、野ネズミのお嬢さんが散歩で色んな物を集める「あさのさんぽ」(水色のたまごがおいしそう。普段なら好まないようなリアルな絵なのに、好きだったし、いまでもやっぱりいいなと思う)・・・わくわく。



でも、当時も今も一番好きなのは、はりねずみのぼうやがかごに赤い風船をつけて、蝙蝠傘を持って小さな旅をする話「そらのさんぽ」なのです(><)いつかこんな冒険をやってみるんだ!と思って、家の箱に入ってうっとりしてました。けっこう大きくなるまで(笑)。

ああでも、絵本がその後のメンタリティに及ぼす影響ってやっぱり、はかりしれないんだわ~。八割くらい決まっちゃってるよ、私の場合。



そういえばどの話も、素敵な絵とお話に、ちょこっと、おかたづけのこととか、ちゃんと服、着れるかな?とか、数の数え方とかが織りこんであったのですね。あ、それと、お母さんとか、優しい大人の愛情も。あったかくていいな~。

このシリーズ、私が持ってる十二冊以外にもたくさんあるみたいですね。読んでみたいなあ、全部集めてみたいなあ。どこかに売ってるかしら・・・。





もう一つは、「キャラコブックス」(ターシャ・テューダー作 内藤里永子訳 メディアファクトリー)。三冊の綺麗な絵本(英語)と、別冊の訳本(+作者について)が箱に入った絵本セットです。こちらも小さい。

もう、表紙見ただけでもうっとり。開くと、蔵書票みたいに自分の名前を書き込めるイラストが付いているし、カバーとったら小さな女の子の服の生地みたいな水玉模様(三冊とも色が違う)。凝ってる~!!しまっておくのは惜しいです。小さな子供向けの本だけど、ちゃーんと一人前扱いされてる、というか、手加減されてない丁寧な作りです。

もちろんお話のほうも素敵。シルヴィー・アン、という小さな女の子と、お家で飼ってる動物たちを巡る身近なお話。まさにポケットサイズの小さなエピソードなんだけど、読むとふっと笑ってしまう。優しいけど、変に媚びないタッチの絵が良いです。庭や動物たちの描写は、こんな場所一度でいいから行ってみたい、と思わせるし、とにかくシルヴィー・アンがかわいらしい・・・。頭なでなでしたくなってしまう。大人もみんなおおらかで優しいし。リンドグレーンに出てくる大人たちみたいだ。



おじいさんとカボチャのランタンをつくるお話「パンプキン・ムーンシャイン」が一等好き。ジャックランタンに、こんな素敵な呼び名があるなんて。



思いっきり絵本に影響されて、紅茶とクッキーなんぞかじりながら読んでしまいました。辞書も準備してね(苦笑)。





さあて、次は何を読もうかな~。
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小学校の頃、図書館の絵本スペースがお気に入りの空間でした。中でも好きだったのが、マドレーヌシリーズと、このレオ=レオーニの絵本。特にねずみさんが活躍するシリーズが好きでした(でも、あんまりストーリー思い出せないの)。懐かしいなあ・・・今でも、ねずみの絵といったら、お米みたいな胴体に長方形の手足のものを思い浮かべてしまうのは、彼の絵本の刷り込みによるものです。



で、Mr.McMouse。これ、日本語版出てないのでしょうか?ちょっと検索してみたけど、該当の作品が見当たらなかった。洋書絵本市で購入。一目見て「ネズミ!!!!」と大喜びした一冊です。

ティモシーは、鏡を見ては「ボクってば何てハンサムな町ネズミなんだろ!」ってうぬぼれてたネズミ君。ところがある日、いきなり黒い服の変な生き物(ネズミの尻尾を持った小さな人間の姿)に姿が変わって大ショック。町を飛び出して、これからどうしよ・・・?としょんぼりしてたら、野ネズミたちの集団と出会います。その中のスピニーという名の親切なネズミが彼の正体を見抜き、新しい名前をつけてくれるのです(それが、表題)。野ネズミたちと一緒に暮らすためには、テストに合格しなくちゃいけない、といわれたものの、ティモシーは失敗ばかり。このままじゃ出てかなくちゃならないよ・・・!でも・・・。



というのがストーリー(結末は秘密)。かわいい~、色が綺麗~、やっぱり大好きレオ=レオニ。感情表現がオーバーじゃない絵柄にほっとします。読んでる子供のほうが、細かい感情をあれこれ思い描く余地があるもんね。真ん丸い目玉が可笑しい。

野ネズミ代表スピニーちゃんは、女の子だったのね、ということに、真ん中まで気付きませんでした。「she」の表記にびっくり。ずっと頭の中の日本語訳、男の子の喋り方になってたよ!



そして、絵本と言えど、わからない単語の続出にちょっとだけ、がーん。文法はともかく、確実に頭が老化してます。辞書引きながら読んだよ・・・恥ずかしいな~(><)



また洋書市あったら、この人の探して買ってこよう(や、日本語のでも全然構わないんだけど)。「平行植物」も気になるな~。
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これも古本屋さんにて購入。梟のマークがかわいいな、河出書房新社。



クレオパトラ・エリザベス女王・マリー=アントワネット・・・など、悪女と言われる十二人の女性についてのエッセイ。ワイドショー的好奇心に駆られて読んでしまいました。



「悪女」と一括りにされているものの、「悪女」っていうよりただの猟奇殺人鬼なんじゃ・・・っていう女性もいれば、別に悪女でもなんでもなくて、ただ社会情勢や周りの男性に翻弄されただけなんだね、と言いたくなるような気の毒な女の人も。

特にルクレチア・ボルジアなんかほんとうに可哀想。最後の結婚は幸福で良かったけど、産褥で死んじゃったのね・・・(涙)この人の話は、「バビロンまで何マイル?」(川原泉)と言う漫画に出てきてたので、特に興味津々で読んでしまった。で、結構歴史に忠実な漫画だったんだな~、と今更思ったよ。

それにしても・・・こういう気の毒な女の人の章になると、筆者の筆が優しく感傷的になるのが少し意外と言えば意外かな。



大体は名前を聞いたことのある女性ばかりだったんだけど、「フレデゴンドとブリュヌオー」「マグダ・ケッペルス」の三人は初耳でした(無知)。マグダの生涯は本当にドラマチック。全然政治に興味の無かった女優が、容貌さえない男性の演説に魂を奪われて、いきなりナチスに入ってしまうなんて・・・情熱的。マグダ本人についての記述も面白いけど、むしろ彼女の心を奪ったゲッペルスの人物像に興味が湧く。虚無的で何事も信じていないのに、それを大衆に信じさせる天才的な手腕。うーん・・・すごい。感心すべき人ではありませんが。



全部読んで、どの人が一番素敵な悪女(!?)かな、としばし考える。エリザベート・バートリとか、則天武后みたいな酸鼻を極める拷問をする人はやだし(スプラッタは苦手)、メアリ・スチュアートとか、マリー・アントワネット、ルクレチア・ボルジアなんかはちょっと可憐過ぎて悪女の名前に負けるかな・・・嫌いじゃないけど。フレデゴンドやブリュヌオーは、「女の執念とか嫉妬って怖い」とは思わせるけど何か違うし(ちょっとみっともない気がする)・・・

色々考えて、私の好みはエリザベス女王、次いでクレオパトラ、というあんまり意外性の無いところに落ち着きました。政治的手腕と冷静さ、あと、恋愛をそこそこ楽しんでるところが気に入った。恋に溺れすぎず、打算的な計算が働いているところこそ悪女と言えましょう。うんうん。



こういう人になりたい?と言われたら、御免蒙りますけど!(ちょっと負け惜しみっぽいよ!)




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古本屋さんで見つけて、即購入した一冊。米倉斉加年の描いてるカバー絵(この人、確か俳優さんでもあるんだよね?戦時中の体験の小説も書いてたっけ・・・)が印象的。赤いリボン(?)の黒髪少女の顔なんだけど、目元が泣いてるようにも縫われてるようにも見える。不気味なんだけど物悲しげな表紙で、表題作にぴったりでした。

この文庫では、「少女地獄」「童貞」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」を収録。



体調不良で一つ一つの感想を書く元気がちょっと出ないのだけど、面白かったです。どうしてそういう心理になっちゃうかな~、っていう唐突な狂気(けれど、どこかでそういいう狂気に納得してしまう自分もいる)や、一つの特徴(性格、容姿など)がうんと誇張されて描かれてるところが好きなんだ。

それにしても。かなり気持ち悪い描写も出てくるのに、そういうところに限って変にユーモラスな印象が漂うのはなぜだろう。ユーモラス、というか、無邪気というか。変なところにカタカナが使ってあるのも、滑稽味に一役買ってるのかな。





江戸川乱歩なんかもそうだけど、悪者を美しく描くことに長けてる作者だな、と思った。純粋な黒。




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階段を段飛ばしに上がるのにも、限界と言うものがある。

灯りの乏しいところで、知らない人の描く、知らない人の似顔絵を見るような覚束なさ。



・・・これが、本書を読み始めて半分くらいまでの感想でした。

「少女フェミニズム」「サブカルチャー」という言葉につられて読み始めたものの、私江藤淳という人のことも、大塚英志という人のことも、名前しか知らなかったのです。それでもなんとかなるかな~、と思ってたのですが・・・あんまりどうにもなりませんでした(汗)大塚英志の江藤淳論はとても面白いのだけど、それがそれなりに説得力のあるものなのかどうか、というのは、やっぱり江藤淳の評論を読まなきゃどうしようもないところがあって。順序を間違えたかもしれません。



でもでも、それを抜いて、わからないなりに読んでも本当に面白い評論でした。三島由紀夫や手塚治虫を対照的に扱った(コピーとしての自分と、世界との関係性・・・とか)部分はとてもスリリングで、なんだか興奮して読んでしまった。





全部読んで、乏しい理解力なりに考えたこと。

私は今まで、どちらかというと評論家というものにあんまりいい印象を持ってなかったのです。なんていうんだろう・・・責任の無い立場から普遍的なものをぱっと拾い上げて、それでもって世界の全てを規定するような人たちの集団なんだろうな、と。この反感たっぷりの認識に、特に根拠はなかったのですが(汗)。



けれど、評論というのは、本当はごく個人的なテーマから問題意識が生まれてて、だからこそ絶対に無責任なんかではいられないんだな・・・。この本からおぼろげながら見えてくる江藤淳は、常に自分の言葉で世界を作ろうとしながら、それを自分にも適用しようとやっきになっている。何とか自分の吐いた言葉に矛盾しない自分であろうとする様子は、殆ど戦いのよう(そしてそのことは、三島由紀夫にも言える)。大塚英志の言う通り、それは痛ましさすら覚えるほどだ。

表現することは常に自分の理想との戦いである、なんて言ってしまえばチープだけど、でも、そう思う。彼等の自死は、その戦いに負けないための最後の手段だったのだろうか?私にはわからない。

・・・わたしの吐いた言葉だって、気付けば自分自身をがんじがらめにしかねない、と思うとちょっと恐ろしい。彼等のように決死の覚悟で並べた言葉ではないけれど。



前以上に物を書く人に、その行為に敬意を払って読まなければならない・・・と考えさせられた一冊。江藤淳を読んでから、また手に取ってみようと思う。
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こうさぎ、ならぬこぱんだのsumi君を連れてきました・・・が、この子、具体的に何をしてくれるペットなんだろう。ドリコムからはあんまり機能が使えないみたいだけど。とりあえず、読書日記の言葉を喋ってるんだけど、語彙増えるのかな?これから。



さて、「エスカルゴスキン」。これは、ゴスロリファッションと、アートの雑誌みたい。表紙の怖い雰囲気の女の子の絵(七戸優、という方の絵だそう。激しく興味が湧いてきた)が好みだったので、購入。カタツムリ料理とゴスロリ、どういう関係があるのかよくわからなかった。今もわかんないけど・・・。



個人的に、この系列の雑誌「ゴスロリバイブル」よりこっちのが好きかな~(微妙な評判みたいだけど・・・)。最初のほうはファッションページで、写真がわざとぼかしたみたいになってるから、洋服が見たい人には物足りないかもしれない・・・けど、私は、ゴス系の画家さんのインタビューページや、どこかしら背徳的な雰囲気のイラストが満載なので全然気にならなかった。ものを創る人のインタビューは好きだし、どちらかというと、ミーハーに雰囲気だけを楽しんでるので。安全な場所から(この辺が、ゴシックハートの持ち主になれないところ)。ゴシック系の音楽の紹介のページが一番参考になった。聴いてみたかったんだけど、どういうのがあるのか見当もつかなかったので。



語り口の落ち着いた(?)読み物が多いところも嬉しい。ゴスロリバイブルは、ちょっとテンションが高すぎる傾向があって、それで買い控えていたのだ。



うーん、「spoon.」みたいにリピートで買ってもいいなあ。惜しむらくはちょっと誤字脱字が多い・・・。


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先日放映された「鬼平犯科帳」は相変わらずカッコ良かったですね。ちょっとだけ、近松的世界だったし。中村吉右衛門の長谷川平蔵、いつ見てもうっとりしてしまいます。渋い~!!!エンディングの曲も何度聴いても良い。



・・・なんて。読書日記にいきなりTVの感想でごめんなさい。えっと、この「食卓の情景」を読もうと思ったきっかけが、この「鬼平犯科帳」スペシャルの放映だったものだから、つい一言書きたくて。

父の影響で小さい頃から観てたせいか、私は池波正太郎原作の時代劇が大好きなのです。「鬼平犯科帳」然り、「剣客商売」然り。そんな中、つい最近読んだアンソロジー中に載ってたエッセイが結構面白かったので、読みたいな読みたいな、と思ってたらこの放映。池波正太郎読みたい熱が急上昇してしまいました。そしたら本棚に、この「食卓の情景」があるではありませんか。父、ナイス!



・・・そんなわけで、読む(前置きが長い)。



この本は、タイトルから想像されるとおり、食に纏わるエッセイ集。著者の行った食べ物屋さん、昔食べた思い出の味、おうちで作るご飯のこと・・・などなどが、軽妙な語り口で書かれています。挿絵、表紙の絵も著者によるもの。上手い。

一言で言うと、「おなかが空く本」。あああ~お~い~し~そ~う~!!!いいな、いいものいっぱい食べてるんだな~、って、ものすごく羨ましくなってしまった。高級料亭から昔馴染みのお好み焼き、蕎麦、和菓子・・・のめくるめく世界。時々出てくる「うまいことおびただしい」っていう独特の表現に、説得力を感じてしまう。おいしいんだろうな~。それにしてもこの人健啖家だなあ・・・旅をしたら食べてばっかり。ボリュームのあるものばっかりそんなによく入るね!



元気な老母とのやりとりを書いたエッセイや、芝居の台本を書いていた頃の思い出話も興味深い。このお母さん好きだな~、「こんなうまいもの食べられたら、もう死んでもいい」って言いながら、「でも、あたしが死んだ後、TVでどんな面白い番組するかと思うとまだ死ねないねえ」なんて言っちゃうところ、思わずにやりとしてしまう。著者もこういうおかあさんを面白がってるのが、ありありとわかるんだ。



どのエッセイも、まさしく「味がある」んだけど、一番印象に残ったのは、お祭りの屋台の思い出を書いたものと、映画に出てくる食卓のシーンについて論じてる文章。私自身には、本当は縁日の思い出なんてほとんどないはずなんだけど(せいぜいたこ焼き食べたくらい)、このエッセイを読んでると、食べたことも無い屋台のお菓子を食べ、縁日の独特の雰囲気を味わったことがあるかのような郷愁を感じる。なんだろう・・・遺伝子の記憶?(笑)

後者のエッセイは、映画における食事のシーンの効果を述べたもので、なるほど・・・と思った。そんなの、気にしたことなかったよ。これを読んだ後、「剣客商売」を見る機会があったんだけど、作者の食事シーンに対する思い入れ、たしかにこもってた。主人公たちが決闘に赴く時に、しっかりご飯を食べてるシーン。一見落ち着き払って和やかに、でも奥底に、「さあやるぞ」っていう緊張感が滲んでるんだ。ああ、こういうことなのか・・・。



おいしいご飯と一緒に、ちょっと「心意気」(食べるほう、作るほう)というものについても考えさせられるエッセイ。ごちそうさまでした。また食べたい。



あ・・・そうだ。小説ファンの人には「おっ」と思わせる裏話的エピソードもあるので(秋山小兵衛とお春のモデルとか)、そういう意味でもお勧め。私には、長谷川平蔵=著者に思えてきました。読んでるうちに。
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読み終わって、何とも言えないもやもやとした気分になった一冊。感想を書くのが難しいなあ・・・。



舞台は2.26事件前夜のきなくさい日本。西の丸公爵家(政治的に、非常に重要かつ微妙な立場にあるらしい)の娘氷見子(父西の丸秀彦の元へやってくる政治家と、父との会談を、秘密のメモにとっている)を主人公に、氷見子の兄義人、氷見子を「お姉さま」と慕う猛田節子(陸軍大臣の娘で、成り上がり貴族と軽蔑されている)、父秀彦、その他さまざまな男女の思惑が交錯する。

始めは氷見子たち貴族のお嬢さまたちが、「軍人なんてやーねー、男くさくって、無骨で」なんて馬鹿にしてるような気楽なやり取りもあるのだけど、それが物語を読み進めるにつれ、どんどん彼女たちの周辺にも政治的暗雲がたちこめていく(それとともに、ドロドロした人間関係も明らかになっていくの・・・うう)。そして、ついに事件は起こってしまい・・・



と、ストーリーはこんな感じ。2.26事件、僅かに残った受験的知識だけではちょっと理解が苦しかったかも・・・とはいえ、物語を読むのにそれを知ってなきゃどうしようもないことはないと思う。

に、人間関係がものすごい、ディープ。昼のドラマにありそうだなあ、こういうの・・・と思ってしまった(汗)。節子の氷見子への愛情を見てると、ああ、こういう題材でも、書き手によってこうも肉感的というか、センシュアルになるものか・・・と思わずにはいられない。やや疲れる。



けれど、人物をひとり一人じっくり見ていくと、それぞれに自分のジェンダー(?)に思うところありの人ばかりで、その考え方の違いが面白い。特に、貴族として生まれてしまったがために、青年軍人たちから反感を持たれ、国と家族の間で真っ二つに引き裂かれる義人の物語には、結構感情移入してしまった。「男らしさ」という理想。義人に限らず、ここに出てくる殆どの男たちはそれに捕らえられている。そして、自分自身の言葉によってその鎖をさらに頑丈にしているみたい・・・。馬鹿みたい、というよりは、痛々しい。そんな理想を生きられる者がどれだけいるというのだろう?主人公氷見子の視線は、持ち前の聡明さと、優しさ(後半まで、この少女の優しさには気付かなかった)で、男たちの脆さ、女たちのたくましさを射抜いている。





蛇足。この武田泰淳という人は、皮膚感覚に訴える比喩をつかう人だなあ。ぎょっとするほど生々しくて怖いけど、ああ、なるほど、と思うような比喩が多かった。




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ちくまプリマー新書は、中高生向けに新たに発刊された新書だそう。普通の新書より柔らかく、けれど普遍的なテーマを、色んな分野の第一線の人がコンパクトに纏めて書く、中高生だけを対象にしてるわけではなくて、大人が読んでも十分読み応えはあるものを・・・というような趣旨のことが、中に挟んであった紹介文に書いてあった。

装丁はクラフト・エヴィング商會。実はこれに惹かれて買いました・・・(笑)字も大きくて、読みやすい~。



これは、作家吉村昭が、自分流の事物起原を書いてみよう、ということで生まれた本。どんなものの始まり(主に日本での)が書いてあるか、というと、

解剖・スキー・石鹸・洋食・・・・に始まって、幼稚園・胃カメラ・万年筆・・・など、その種類は実にさまざま。「物事のはじまりを知ることは、知的好奇心を満足させてくれる」と著者が述べている通り、ふむふむ、なるほど!え~そんないきさつがあったの!・・・なんて、好奇心刺激されっぱなしの一冊でした。こういうの、好きだ。



日本で初めての篤志解剖者の話にちょっと切なくなってみたり、石鹸のとんでもない使い方にびっくりしたり(あえて書かない!)。マッチや電話、蚊取り線香や蚊帳の章なんかは、著者の郷愁が感じられてちょっとしみじみしてしまう。挿絵として昔の広告や図版が入ってるのも面白い。



ところでちょっとびっくりしたんだけど、もう最近の高校生って、蝙蝠傘って言い方知らないの?「蝙蝠」と略して言ったら、畳んだ黒い傘を本当の蝙蝠だと思っておびえられた、というエピソードがあって、愕然としてしまった。ジェネレーションギャップ!



うん、読み易くてとっかかりやすいテーマの本が多そうだし、また買ってみよう。全部揃えたら綺麗そうだけど、さすがにそれはやらないだろうな。
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小澤征爾。「世界のオザワ」と言われる名指揮者さんであり、小沢健二のおじさんでもある人。何年か位前、TVでこの人がオーケストラの指揮をするドキュメンタリー番組を観たことがあります。厳しいときは厳しいのだけど、わかりやすいことばで、どんどんその場の演奏者たち(皆、尊敬のまなざしで見てるのがありありとわかる)をひきこんでいく場面がとっても印象的でした。もうすっかりおじさんという年にも関わらず、本当に子供みたいな生き生きした表情の人で、こういうヒト好きだなあ・・・と思っていた。

そんな小澤征爾が26歳のとき書いたのが、この本。写真で見ると、このときは本当に子供みたい。



外国の音楽を直に体験するために、なんとスクーターでヨーロッパ旅行をし、そして国際コンクールでどんどん成功していく様子を綴った本は、読んでるととても楽しい気持ちになってくる。この人、行く先々でみんなに可愛がられているんだけど(バーンスタインとの交流は、じーんとしてしまった)、それも当然だろうな。文章をよんだだけでも、この人の快活さ、愛されるキャラクターがよくわかるもの。中でも途中途中にはさまれた、旅先から家族に出した手紙にひときわそれがあらわれてる。家族に対する愛情や、素敵な音楽に触れた喜び、コンクールで認められた誇らしさがいっぱい詰まってるのです。知らず知らず笑顔になってしまう。



多分、コンクールに出るため、受かるためには人知れぬ苦労もあっただろうし、本人がちょっとだけ書いているように、聴くだけではわからない、音楽を生み出す苦しみだっていっぱい経験してるんだろうけど、この人はそういう苦労談はあんまり書かないんだ。「受けたら受かっちゃった!」みたいな、あっけらかんとした触れ方なの。そういうところにまた、性格が出てるような気がする。



ところどころにのぞく、音楽に対する姿勢にはさすがにうなってしまうけれど(色んな指揮者や演奏家について書かれた部分は、その人たちを知っていればもっと楽しめたんだと思う)。小澤征爾という人は、周りのものをどんどん吸収する瑞々しい感性だけじゃなくって、それをじっくり自分の中で捉えなおして、的確に言葉や音楽にする才能にも恵まれた人なんだな~。理知的、というのかな。すごい。このとき24~26歳だったなんて。年齢一つしか違わないのに、この差・・・あう。





ん~、面白かった!クラシックなんて普段聴きもしないのに、急にCDをひっぱり出して聴いてみたのは、この本のなせる技です(笑)。


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講談社現代新書、装丁変わったのですね。・・・前のほうが良かった・・・。本屋の棚の新書コーナーの色が、前のシリーズとこのシリーズとの二種類になってて汚かったです。



帯の「知的に見せる本/バカに見える本」という文に反感を覚え、あまりに反感を覚えたがために逆に買ってしまった本(苦笑)。文句言う気満々で読みました・・・が。



んー・・・決して好きなタイプの本じゃないけど、思ってたよりはずっと、なるほどなるほど、ってな本でした。しぶしぶ納得させられてしまう点多数。

内容は、大雑把に纏めてしまうと、「社交的に、どういう本を読むか」という話が中心なのです(主に若い女性へのアドバイス・・・かな)。ダニエル・キイスを人前で読んでいるよりは、塩野七生だとか白洲正子を読んでるほうが知的に見えるでしょ?というようなことらしい・・・(私自身は別にどっちでもいいんだけど、そんなこと)。みんな、服やアクセサリー、お化粧には気を遣いすぎるほど遣うのに、どうして本にはそれだけの注意を払わないのか?何を読んでいるか、ということは、アクセサリーや化粧以上に、相手に対して自分がどのように映るかを決めてしまうものなのに・・・と著者はアドバイスしてるのです。ふむ。



確かに、言われてみればまあそういう面は無きにしもあらず・・・どの本(漫画・絵本も含む)読んだ?っていうのがコミュニケーションツールになってる部分は確かにあるかも。それによって相手が自分と仲良くなれる面があるかな?というのをはかってしまうし、私自身。

だからその基本的な部分には何ら意義を唱える気にはならなかったんだけど、引かれてる例が、正直、よくわからなかったのです。白洲正子や塩野七生、須賀敦子が「高級」なイメージや出来る女のイメージを持たれ、高村薫や宮部みゆきが「世間ずれしていない女性」という印象を与える、などの意見に、「?????」と首をかしげるばかりで。



あの・・・こういう印象を持つのって、ある程度教養のある、ひと年取ったおじさまに限られてるんじゃ・・・。たとえば同世代で話をしてて、相手がこれらの作家が好きだ、と言ったからって、この本で書かれているような印象を、相手に持つんだろうか?私にはとてもそんな風には思えないんだけどなあ。

何だか、おじさんたちにとっての「そこそこ出来て、可愛らしさもある女性」に見える方法を伝授されてるみたいなところに、ちょっとひっかかりました。(あ、そういうところばっかりじゃないんだけど。)



ああ・・・でも、もうちょっとゆっくり考えたら、同性同年代にだけどう見えるか考えて「いいじゃん、別にどんな風に読んだって」って開き直ってる自分の発想もちょっと狭いような気がする。著者の言う、「イノセントさに甘えている」状態に通じるものがあるかもしれない。背伸びが大事なこともあるもんね、最初はきつくても、そういうのが精神的な成長に通じるなら、頑張ってみるのもたまには悪くないかもしれない。ほんのちょっぴり反省。



そこはかとなく意地悪さの漂う口調にかちんときつつも、書評的な部分や、本を巡る時代的背景、サブカルチャーについて触れたところなんかはとっても面白かったです。好きな作家が誉められてたのも嬉しかったし。

全面的に支持はしない(というより、できない)けど、色々自分の物の考え方を点検するのにはいい機会だったな。
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