つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
いつもは一冊読んでから書くのだけど、もう一作の収録作(「人形つかい」)を読んでからだと印象が薄れそうなので、先にこちらの作品の感想だけ。



SF初挑戦!ということで、友達に薦めてもらった本の一冊。「夏への扉」というタイトルと、ハインラインという名前を見たときに、何となく頭に浮かんだイメージは、白いワンピースの可愛い女の子(麦藁帽子被ってるの)と海岸だった(限りなくチープなイメージ!)。・・・なんでだろ。ハインラインってね、女性の名前かと思ったのですよ。フルネーム見てちょっとびっくりした。



面白かった~~~!!ストーリーは、天才的な技術者ダンが、親友と恋人に手ひどく裏切られてぼろぼろになっちゃって、ジンジャーエールの大好きな猫ピートと一緒に、冷凍睡眠を受けて2000年(30年後)まで眠っちゃおうかなあ、なんて自棄になって考えてるとこから始まるのです。彼の味方になってくれそうなのは、この猫くんと、彼のことが大好きな小さな可愛い女の子、リッキーだけ。色々あって、結局ダンは2000年まで眠る羽目になるのだけど、彼が眠る直前の出来事にいくつも辻褄の合わないことが見つかって、それを調べていくうちに・・・



この後は秘密。う、要約下手っ。

コールドスリープ、どことなく間抜けな姿の家庭用ロボット(でも万能)、そしてとても欠陥のあるタイムマシンを駆使した冒険劇に、心躍らせながら読む。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズにわくわくした人なら、この冒険は楽しめるのではないかなあ、と思った。一瞬、この作品って、あの映画にすごくヒントを与えてるんじゃないの?と思うほど。



キャラクターの作りもうまいなあ、悪役も含めて、何となく憎めない。ほんっとに嫌な人、というのがいなかった、そういえば。

そして、それぞれの登場人物の顔がとっても思い浮かびやすい。あたまの中でどんどん空想のキャラクターが膨らんで、動いてくれる感じ。楽しいな~。





もう少し、リッキーの活躍シーンがあってもよいのになあ、というか、もう少し能動的なヒロインでもよかったのに・・・とちょっぴり残念ではあったけど(だって、あんなに重要なキャラクターなのに。)、それでも、やっぱりとっても可愛い子には違いない。ラストはおさまるとこにおさまって、一安心。



空想世界の2000年は、現実を遥かに先取りしておりました。(そしてとっても、進歩に対する態度が楽観的。)現実が想像力を上回っちゃうような世界でなくて、良かった・・・なんてちょっぴり思ったのでした。つまらないじゃないか、それじゃ。
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う、うーん・・・何と感想を述べていいのかわからない。とにかく、今あまり読みたいような話でもなかったみたい。



収録作は、表題に上がってるニ作のほかに、「オコマさん」と「屋根の上のサワン」のニ作がある。

「オコマさん」は、碌でもないバス会社に勤めてる、実直な運転手さんと可愛い車掌の女の子の話。そこはかとなく悲しいような、でも二人の善良さにはほのぼのとなるようなお話で、作者の分身みたいな作家も出て来る。淡々と読みました。

「山椒魚」は、やっぱり良く出来てるなあ、と思った。出られなくなった岩穴から見てる外の景色の描写がとっても美しくて、ああ、外に出たい、切ない・・・という山椒魚の焦りを共有できる。

ただ、ラストシーンを読んで、おや?と首を捻る。この話って、こんなラストだっけ?蛙と山椒魚の間に友情がかすかに芽生えるっていう・・・。前に読んだ時は、お互いにらみ合って、どっちも出られなくてにっちもさっちもいかない、という何とも言えない終わりだったような気がしたんだけどなあ。勘違い?




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三十歳でガスオーブンに顔を突っ込んで死んでしまった詩人、シルヴィア・プラスの自伝的小説。自らの自殺未遂の体験をもとに書かれたという。「ベル・ジャー」はガラスの覆い、の意だそう。

この人の映画がお正月に来るみたい。出来たら観に行きたいなあ。



自殺してしまった女の人だったり、そういう女の人を扱った本、というのにどうしても惹かれてしまうのだけど、それは自殺というスキャンダラスな題材に興味があるわけでも、そういう願望があるわけでもなく、ただ、そこに至る心の過程に何かしら共感するものを覚えるから。この本もそうだった。

たぶん、そう感じたのは私だけではないのだろう。この本は、少女版「ライ麦畑でつかまえて」として世界中で読み継がれている、という。



やりたいことは目の前にたくさん開けているのに、それを選ぶ力が自分には決定的に欠けている、と思う主人公のエスター。未来の可能性がいくら輝かしいものでいっぱいでも、それを選ぶ術がわからぬまま立ち尽くしていれば、それは全て腐ってしまう。もう何年もずっと抱えつづけてきた焦りや劣等感が、この本には見事に言語化されていて、必要以上に感情移入してしまう。

 さらにもう一つ、彼女が「女である」ということを持て余していることも、エスターを身近に感じてしまう一因なのだろうな。自分というものをみつめるとき、嫌でも男の人との関係性についても考えなくてはならないのは本当に厄介なことだ。性の圏外で生きていきたい、といつだって望んでいるけど、それはどだい無理な話なのね、と読みながら思った。

エスターが、彼女を何でも把握していると思っているボーイフレンドの欺瞞に気付き、どんどん失望していくあたりでは、胸が苦しくなるほど。さまざまな出来事を経て選んだ彼女の選択は、正直よくわからないところもあるのだけど、きっと乗り越え方はひとそれぞれだし、これは「エスターの物語」であって、私の物語でも、他の女の子の物語でもないんだものね。



前に進んでいく方法にはきっと色々あるのだろう。理想をなんとかなだめすかして大人になっていくか、当たって砕けた先に何かを見るのか。

それとも、そこでおしまい、なのか。



十年後これを読むときは、懐かしい気持になるだろうか?それともまだ、彼女と混沌を共有しているだろうか?ガラスの覆いの中で。
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ちょっと期待していた内容と違うのが多かったかな、という印象。



全体にちょっと話(とか言いまわし)が難しくて読みこなせなかった、というのもあるのだけど、幻想小説というより(幻想の衣を纏った)風刺小説の趣の強い作品が多くて、ちょっとそれが鼻についたというか。胡椒ばかり鼻先に振りかけられてると、辟易する・・・と思う。



それでも何作かは純粋に幻想小説の醍醐味を味わえるものもあった。ヤーンの「北極星と牝虎」はオリエンタリズム色の強い作品だけど、ドイツの人じゃなくて中国の人が書いててもおかしくなさそうに自然な文章だった。こういう伝説風の話は好きだな。

ポングラッツの「日没」は、物語が不気味な方向へ流れていくときのスピード感が良いなあ。すごくグロテスクなイメージで太陽が描かれているのだけど、とても面白かった。「メカニズムの勝利」は、精巧な兎のおもちゃをめぐるお話。オチがいかにも、だけど、痛快。



ほんとうにさっぱり理解できなかった作品も。ハントケの「田舎のモーリング場のピンが倒れる」という作品には、頭が痛くなった。内容がどうのこうのという以前に、文章が、読めない~っ!!主語と述語とがなんだか複数の人間の中で入り乱れてごちゃごちゃ。言語実験に基づいて書かれているらしいのだけど、何を意図しているのかよくわからない。うーーーーーむ・・・。



一口に幻想文学、といっても、色々あるのだなあ。




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図書館で借りてみたら、表紙をはがされていた・・・(涙)もったいない。



ねずみ小僧のような痛快な人物が活躍するお話あり、間抜けな小悪党のユーモラスな話あり、本当にぞっとするような悪事の話あり、で楽しめる一冊。



ちくまのこのシリーズは、たいていどれも面白く読める。選者がだいたい同じだからかな。好みが共通してるとこ、あるのかも。



個人的には「桜の森の満開の下」(これが初読ではないけれど、どこで見つけても熟読してしまう)や「光る道」のやるせない感じが、なんとも良いなあ、と思ったり。どちらもはっとするほど表現が綺麗。

 

太宰治の「カチカチ山」の語り口も好きだ。この人はこういう軽妙なのも書いていたのね。



そして、さっぱり言ってることはわからなかったけど(恥)、三島由紀夫の若いころの作品がとてもとても、印象的だった。これ多分今の私よりずっと若いころの作品、だよね?早熟な天才だったんだな~、ほんとに。



ときどき本棚から取り出して、少しずつ読むのに最適。このシリーズ、いつか読破してやろうと野望に燃えてみたりして。いつになることか。
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読書日記と、色々な作品の解説や感想を綴った文章から構成されている。「思う」だの「気がする」だの、印象論に堕している自分の読書日記が恥ずかしくなる一冊。



やっぱり、言葉に真摯に向き合っている人の読書日記は、面白い。この人の本は食わず嫌いでただの一度も読んだことがなかったのだけど、もしかしたら柳美里という作家は、私が勝手に思いこんでいた「とにかく自分の恨みつらみを吐き出して小説を書く人」というのとはちょっと違ってて、言葉の意味や、作品の構成や表現があたえる効果を緻密に計算してものを書く人なのかもしれないなあ。



この読書日記も、ちょこちょこ自分の家族への辛辣な言葉が出て来たり、日々の自分の鬱憤についてつづってあったりするのだけど、それがそんなに嫌味でない(全然辛くないかと言われるとちょっと・・・)のは、自分の個人的な問題の中にも、何らかの形で世界との繋がりを見出そうとしているから、かも。閉じてない、というか、どこかで普遍的なものを探っている、というか。



「言葉は静かに踊る」というタイトル、秀逸だなー。言葉の踊る気配に気付くことの出来る人って、たぶんそんなに多くない。私ももう少し、耳を澄まして本の世界を旅したいし、ものを書きたい。色々自戒するところの多い本だった。


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うーむむむ、面白かったといえば面白かったのだけど・・・



ここのところの川原泉の作品は、いまいちパワーダウンの感を免れないような気がする。



薀蓄満載なところとかはあんまり変わっていないのだけど、なんかそれがすごく直接的にストーリーに組み込まれてしまってる、というか、昔の作品に見られたような「そこにそういうアイデアや格言を使うか~!」という驚きがなくなってしまったなあ、と思って、それが少し残念だったり。絵も随分変わったしなあ、細い線にトーンだらけの画面・・・なかなか慣れない。



とはいえ、女っぽさのかけらもない船長や、これまた全然男の人らしくない(回を追うごとにどんどん性格が幼くなっていく)社長さんのやりとりだとか、愉快な動物たちのエピソードだとかは、しっかり楽しめました。のほほんとした雰囲気が大好きだ、安心して読める。

今回は、黒猫のポー君がものすごく可愛いな~。



次作はどんな作品になるのだろう。短編集とか、でないかなあ。
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こういう短いエッセイがいっぱいつまった本って、寝る前に読むのにぴったりだ。



「少女」に関するエッセイがいっぱい。(でも読んでるうちに、「少女」というくくりは気にならなくなってくる。)自らの少女時代の幸せな思い出(逆に、痛い思い出)を綴ったものあり、少女の目から見た大人を鋭く描いたものあり、少女時代とお別れする切なさを描いたもの、男の人が「少女」を眺めて書いたもの、本当にいろんな味のする本だった。どれもこれも思い当たるふしあり。面白いな~、アンソロジーは退屈しないから好き。



執筆者は、岡本かの子、宮本百合子(「雲母片」大好き!)、吉屋信子、城夏子、有吉佐和子、津島祐子、如月小春、石井桃子、佐野洋子、川本三郎・・・などなど。江國香織、山田詠美ら最近の作家の作品もあり、岸田今日子(女優さんで、すてきなおばあさま。執筆活動してるなんて知らなかった)、永田萌(イラストレーター)などの意外な名前も見つかって、とても得した気分です。



蛇足だけど、吉田明生の「櫻の園」絶対読んでみようというか読まねば・・・と思いました。




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短編八つ。

恋愛小説らしい恋愛小説、なんだか初めて読んだような気がします(別段避けてたわけでもないけど)。

それも、「大人の女の」恋愛小説。女の子、じゃなく、女、だなあ・・・正直、いまいちピンとこない。



面白いな、と思う表現やストーリーもあるんだけど、ほとんどの短編にある温度と湿度の高い女っぽさ、というのが、どうも不快になってしまう。永井荷風とか、谷崎潤一郎の本を読むと、女性を「通」の目で値踏みしてるような気がして、胸のあたりに石がつまった感じになるんだけど、ここに出て来る女の人にも同じような印象を受ける。女の人も恋愛経験積むとこんな風に、男性を分析して、値踏みして見ていくようになるもんなの?

なんか、やりきれないなあ、と思う。いやらしいなあ、とも思ったのだけど、そういうものをいやらしいと感じる感受性のほうがもっと不潔なのかもしれない、と思うと、がっくりしてしまった。



十年経ったらわかるかな~。・・・でも、十年たってもここに出て来る男性に魅力を感じる人にはなれそうもない。いい女になんか、なれなくてもいいさ。



それでも、表題作のラストシーンは割と好き・・・かな。幸福を「死んでいる」と表現するところとか、ああなるほど、と膝を打ちたくなる。部屋に月光が入ってて、水族館みたいに見えるという描写も好み。ときどき出て来る風景描写にはとても美しいものがあるなあ、この作者の。
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この人のエッセイ「枇杷」だけを何か別のアンソロジーで読んだことがある。ものすごく印象に残るエッセイだったのだ。亡き夫の思い出をいとおしそうに語っている、と思いきや、底の方にとってもひやりとするような部分があって、不思議な書き方の人だなあ・・・と思ったのだけど、この「言葉の食卓」全体を読んで、ますます不思議なひとだなあ、という印象が強くなった。



過去の記憶とむすびついた色々な食べ物飲み物、や風景。美味しそう、と思わせる文章ではない(・・・と思った、私は)。寧ろ、古い記憶の棚の中の、埃がつもって半ば不気味な感じすら漂っているものをふと見つけたような気持ちになる文章。落ち着かないような、むずむずするような。



幼い筆者をみつけるとすぐ抱きしめにかかる牛乳屋さんに感じるおぼろげな恐怖、とか、風邪で具合が悪い日に寝かされたお雛様だらけの部屋の赤さ、だとか、なんとも言えない怖さがある。怖いんだけど、懐かしいような。こんな体験、私はもちろんしてないんだけど、ここに出て来る怖い感じって、なにか普遍性があるような気がする。それをうまく切りとって目の前に見せられる人は、あまりいないと思うけど。すごい人だなあ。



子供の感性って、ときどきぎょっとするほど、冷たいんだよなあ・・・ということを今更に思い出した一冊。



野中ユリさんの銅版画?の冷たさや不安な印象も、エッセイにぴったりだ。とても好き。
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