つぶやいたり、描いたり。波に攫われる前の、ほんの一瞬。
再読。といっても、読んだのは小学校低学年の頃だから、ほとんど内容を忘れてました。というより、難しくて半分で挫折してしまった跡が見られる・・・(笑)



頭の中でエンドレスに映画「ネヴァーエンディングストーリ−」の主題歌(すごくいい曲だと思う)をかけながら読む。やっぱりいいなあ・・・あっという間に引き込まれ、今日はここまで、という自制を忘れて読み進めてしまう。まさに、主人公のバスチアンを追体験する感じ。作家さんの中には、この人は天才だ!っていう人が何人もいるけど、エンデさん(さん?)の場合、天才だとかいうより、人間離れした人だと思ってしまう。賢者とか仙人とか、そういう人が暖炉の前で語ってくれる長いお話、という印象なのです。ここに出て来るファンタージエンの人物たちに、彼は実際会って来たんじゃない?と思わせるほど、個々のキャラクターに厚みがあるのです。類型的な感じ全然ないし・・・!



それぞれの章を独立した一つのお話として読んでも十分面白い。どの章にも哲学的なテーマが盛り込んであって、さらにその間を想像力がびゅんびゅん飛び交っている。(私は、「色のある死グラオーグラマーン」と、「夜の森ペレリン」が特に気に入ってしまった。夜毎死を経験する、孤独なライオン。様々な色の砂漠を走るたび、その色に変化する。でも、彼が死んでいる夜には、これまた筆舌に尽くしがたい美しさの夜行植物の森が生まれ、そしてその森が崩壊する朝には、再びライオンは蘇る。両者の生には、互いの死が不可欠なのです。だからどちらも、常に死んでいるといえるし、常に生きているともいえるかもしれない・・・)それらの小さなテーマが積み重なって、もっと大きな問題へと上り詰めていくところは、圧巻です。ああ、どうして過去半分で止めちゃったんだろう。前半だけでも素晴らしいけど、後半、もっと観念的になっていく物語に、どんどん嵌っていきます。これだけ作者流の哲学や思想が詰め込まれているのに、それが押し付けがましく感じられないのは、流石だなと思う。



何度も何度も読み返したくなる本。当時読み終えることは出来なかったけど、小さいなりに「虚無」という存在を漠然と理解したこと、孤独とのうまい付き合い方を初めて覚えたのは、この本からだったという気がします。もちろん、エンデのほんとに言いたいことは、そんなところにあるわけじゃないと思うのですが・・・。



装丁、挿絵も、物語の神秘性を高めるのに一役買ってます。バスチアンが手にする不思議な本そのままの、あかがね色の絹糸の表紙。蛇の刻印があるのも同じ。本のケースから出して一目見ただけで、わくわくしてしまう。一章ごとに描かれた不思議な(不気味ですらある)絵。緑と赤で色分けされた活字。凝ってるなあ・・・(><)岩波少年文庫版のも出されたみたいですが、やっぱり、もとの大きな本で読んで欲しい(誰に言ってるんだ)。つるっとした文庫本では、どうも感じが出ない気がするのです。
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